董卓洛陽へ

大将軍である何進が洛陽の宮中で殺されたという報告を受けたとき董卓はにやりとした。
董卓は涼州から軍を率いてきている。
何進の呼びかけに応じたのである。
宦官は成敗する。
何進の妹が帝の子を産んだ。
その子を帝にするのである。
宦官とは意見が合わず、たびたび対立した。
洛陽宮中の軍を制圧しているのは大将軍である何進である。
政治は宦官が務めていた。
その対立がついに頂点に達した。
何進は全土の太守や刺史に檄を飛ばし、宦官の粛清に動いた。
何進を支えていた袁紹も曹操も地方から大軍を招集するのは疑問だった。
「われわれの手だけでいいものを」
曹操は呟いていた。
「大将軍の命に従おう」
袁紹は袁紹で考えがあるようだ。
何進を陰で操る。実際にそうなのである。
何進を利用して自分で天下に号令する。
それが袁紹だった。
何進が宮中に入るとまもなく首が投げ落とされた。
袁紹は突撃して宦官を皆殺しにするつもりだった。
何進が死ねば名門である袁紹にも人がついてくるかもしれない。
「帝を連れて二人逃げたようです」
袁紹のもとへ注進が入った。
曹操はもう飛び出していた。
袁紹も急いであとを追った。
こういった情報は董卓のもとにもたらされていた。
董卓は涼州から動員した大軍を動かした。
董卓軍五万。
そう言わせていた。
実際には一万たらずの軍勢である。
董卓としてはこの機会を逃すつもりはない。
袁紹や曹操より先に帝を見つければ天下は自分の手に転がり込んでくる。
「殿、ただいま帝を我が手に」
報せてきたのは董卓の知恵袋である李儒であった。
「おお、よくやった」
董卓は帝のもとへ向かった。
そこには震えている少年と、それを護るようにしている少年がいた。
震えている方が帝である弁であった。
先ごろ帝が崩御したために即位したばかりであった。
「帝の御前であるぞ。馬から降りよ」
もう一人の少年が言った。
董卓はむっとしたが従わぬわけにはいかない。
(これは)
董卓は弁などよりよっぽどマシだと思った。
協という皇子であった。
弁とは腹違いである。
弁の母は大将軍の何進の妹である。
何進はもともと肉屋を営んでいたが、妹が帝の子を産むとその地位は一気に上がった。
董卓はこの二人を見て、協こそが帝になるべきだと思った。
董卓が帝を連れて洛陽に向かっていると、前から軍勢が見えた。
袁紹と曹操である。
「帝であるぞ」
董卓は大声を出した。
袁紹と曹操は先を越されたかという思いがあった。
董卓が軍を率いながら洛陽に入らなかったのはこのためか。
後悔しても遅かった。
「帝はわれわれが」
袁紹は申し出たが、
「帝をこのような目にあわせたものに任せられるか」
もっともなことを言い董卓は洛陽へ入っていった。

広告

インセプション
個人情報が漏れる心配がないレンタル携帯。